朝食を済ませて、部屋で荷物を整理していると、携帯が鳴った。息子からだ。
「いよいよ今夜だね。ちゃんと弾けそう?母さん驚くだろうなぁ。」
「ああ、大丈夫だよ。いろいろありがとな。」
「それより、ちゃんとプレゼントも用意してるの?ギター演奏だけじゃダメだよ。」
「ああ、お前のアドバイス通りに用意したさ。」
「母さんきっと喜ぶよ。今までこんな誕生日なかっただろうから。」
昼前に、妻と久しぶりの那須に向けて車を走らせた。
周りの景色がモノクロから色彩豊かになっていくに連れて、いつも落ち着いていくはずの心が、今日は少しだけ緊張していくのを感じた。